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第330号  詩篇7:6-17

暴虐の寡頭政治

国家指導者が国民に嘘をつき、だまし続けてきた隠蔽工作が明るみに出、正当化され、公然とまかり通る時代… この世の視点からは絶望的。しかし… 最後通告はすべてをお見通しの唯一真の神の御口に…

主よ 御怒りをもって立ち上がり 私の敵の激しい怒りに対して ご自身を高くし 私のために目を覚ましてください。あなたはさばきを定められました。国民の群れをあなたの周りに集め その上の高いみくらにお帰りください。主は諸国の民にさばきを行われます。私の義と 私にある誠実にしたがって 主よ 私をさばいてください。どうか 悪しき者の悪が後を絶ち あなたが正しい者を堅く立てられますように。正しい神は 心の深みまで調べられます。私の盾は神にあり 神は心の直ぐな人を救われます。神は正しい審判者 日々 憤る神。立ち返らない者には 剣を研ぎ 弓を張って 狙いを定められます。 その者に向かって 死の武器を構え その矢を燃える火矢とされます。見よ その者は不法を宿し 害悪をはらみ 偽りを産んでいます。彼は穴を掘って それを深くし 自分が作った穴に落ち込みます。その害悪は自分の頭上に戻り その暴虐は自分の脳天に下ります。私は主をほめたたえます。その義にふさわしく。いと高き方 主の御名をほめ歌います。   詩篇7:6-17

イスラエルの王サウルの部族の中でもとても邪悪なベニヤミン人クシュは、報酬を当てにして隠密行動をし、偽りのうわさをまき散らし、サウル王に献身的に仕えていたダビデを苦しめた悪者でした。嘘つきのかしらクシュによって、サウルは完全に騙され、サウルの他の部下たちも異口同音に、ダビデがサウルの生命を狙っている、とあらぬ噂を吹聴したので、ダビデは逃亡、荒野での放浪生活を強いられたのでした。
だれが敵か味方か分からない四面楚歌の境遇に置かれたダビデにできたことは、人の心の奥底まですべてをご存じの神に公正な裁きを懇願することだけでした。そのときの嘆きの叫びが冒頭に引用した詩篇7篇です。

ダビデは、正しい審判者なる神を「日々、憤る神」と表現しています。これは、神の裁きのすべてが未来のある日のためにとり置かれているのではなく、この地上においても誠実に生きる者の潔白が立証されるに違いない、との確信の表現です。神は「立ち返らない者」には剣の刃であり、火矢ですが、「心の直ぐな人」には守りの盾なのです。
神の公正を告げる『応報の原則』はヘブル語聖書の至る所で立証されています。サウル王は剣でダビデの生命を狙い続けましたが、自ら、自分自身の剣に倒れたのでした。エジプト王はナイル川で、へブル人男児の虐殺を命じましたが、軍隊もろとも紅海でおぼれ、滅びたのでした。また、エステルがペルシャ帝国の王妃の時代、ユダヤ人を憎んだハマンはエステルの養育者、ユダヤ人モルデカイを掛けるための絞首台を自宅に設置しましたが、自分自身がそれに掛けられることになったのでした。

この世の裁きを逃れたとしても、すべてをお見通しの神が悪者の犯罪を見過されるはずがなく、悪者の行く末は自らの邪悪さのゆえの滅びです。嘘つきのかしらはサタンであることから、ダビデの確信の叫び、
その者は…自分が作った穴に落ち込み…その暴虐は自分の脳天に下ります
とは、まさにサタンに向けられた言葉で、人類の父祖の堕落直後、神がサタンの滅びを最初に宣言された
女の子孫(キリスト)…はおまえ(古い蛇)の頭を打(つ)
が思い起こされます。

ヘブライ語の‘ヤーウェ・エリオン’、邦訳の「いと高き方」は聖書の著者ルカが好んで用いた表現で、ルカはキリストを「いと高き神の子」、聖霊を「いと高き方の力」、弟子たちを「いと高き方の子ども」、洗礼者ヨハネを「いと高き方の預言者」、初代教会の使徒たちを「いと高き方のしもべたち」と呼んだのでした。
新約時代の信徒はみな、イエス・キリストの贖いを通して、この偉大なる神との直接の関係にあずかったことを覚えることは大切です。詩篇7篇が預言的に語っている神が悪に対して裁きを定めておられること、また、キリストが十字架上でサタンの脳天を砕いてくださったことを思い起こすなら、信徒は神の武具をつけて、サタンの支配下にあるこの世のすべての神の敵と戦っていくことができるはずだからです。

周りでいかに絶望的な出来事が起ころうと、聖書が繰り返し約束している神の公正と義の立証を信じ続けることは信徒の力の源です。ここ数年来、そのような暴虐、―国家指導者が国民に嘘をつき、騙し続けてきた隠蔽工作― が明るみに出、しかも正当化され、全世界的に公然とまかり通り始めているからです。
COVID-19大流行が四年目を迎え、現在、コロナ禍は一旦収束したかのように見えますが、今秋から冬にかけて計画されている新たな暴虐的規制が下される前のしばしの小康状態といえるかもしれません。
キリストは世の終わりが不法のはびこり、愛の冷え、惑わしに特徴づけられることを警告されました。何が事実で何が陰謀かが分からなくなっている今日はまさに惑わしの時代で、多くの人たちが国家政府、各界の指導者たちによもや騙されているとは信じないので、社会の腐敗、混乱は深まるばかりで、一部の権力者のゆえに全諸国民が犠牲になっています。この世は、神のご介入以外に打開する道がない暗闇へとまっしぐらです。

二十世紀以降に起こった有害化学物質による最悪の事故を列挙すると、1917年第一次世界大戦中、爆発物を積載したフランスの貨物船のカナダ沖でノルウェー船との激突による、二千人以上死亡、九千人負傷の産業災害、1982年、米ミズーリ州で起こったダイオキシンによる汚染で、三年後に被災地が完全に閉鎖された事故、1984年、インドで起こった殺虫剤工場からの50トン近くのガス漏れによる産業災害、1986年、ウクライナのチェルノブイリ原発事故(放射性物質が欧州全域に堆積、ほぼ五千人が甲状腺癌発症)、1989年、米テキサス州の石油会社のエチレン漏れによる爆発事故、2011年、M9の大地震による津波で引き起こされた福島第一原発事故、そして、2015年、中国天津港の有害化学物質貯蔵施設の爆発事故が挙げられるといいます。
これらの事故の事後処理には大なり小なり国家による隠蔽工作が行われ、まだ解決されていない問題も多々あるようです。

特にダイオキシンによる汚染は核汚染よりも長引き、復興に半世紀にも及ぶ年月がかかるそうですが、今年2月3日に米オハイオ州で塩化ビニル他、致命的な化学物質を積載した列車の脱線事故で火災が起こり、6日、政府当局指示の「制御放出燃焼」の名目による化学物質積載車両焼却の結果、ダイオキシン発生の大事故が起こりました。
焼却炉中での廃棄処分ではなく、野外での燃焼により、現場に黒煙の柱が立ち上り、広大な汚染で周辺地域の陸海空の生き物の相次ぐ大量死が報告されました。持続性が強く、食物連鎖に蓄積するホルモン毒素のダイオキシンは生物活性で、世代から世代へと受け継がれ、被災地周辺の農業、畜産業、土壌、水質を損なう恐ろしい公害を引き起こすことが知られています。
にもかかわらず、この大惨事は主流メディアによって一切報道されず、米環境保護局EPAも、化学物質検査を行おうともせず、住民に一時的退去命令を下した後、一人当たり千ドルの見舞金が鉄道会社から支払われただけで、すぐに住民を被災地に戻したのでした。直後から、住民たちの健康障害が顕著に現れたことは言うまでもありません。

住民の死活に関わる大規模な汚染に警鐘を鳴らした、政府や大企業の援助に依存しない独立系の研究所は事故発生直後から、自前で大気と水質検査、人をはじめペット、家畜、生き物の状況調査をし、高度な汚染率を独立系メディアを通して発表し、住民に避難の警告をしました。
EPAが重い腰を上げて化学物質検査、生態系への影響、環境調査に乗り出したのは、事故から一ヶ月以上も経た三月に入ってからで、その結果を3月17日、英国の大手日刊紙ガーディアンが明らかにしました。EPAが試みた二箇所からのサンプルの結果でも、安全とみなされる大気中のダイオキシン濃度を数百倍超える数値でした。このことは数千倍の濃度を示す箇所もあるということで、発癌性の化学物質の高度な検出はオハイオ州と周辺の農畜産物汚染の可能性を明示しているのです。
このような大惨事に対する権威当局、主流メディアの不可解な対応は今日世界的に起こっている現象で、悪しき指導者と結託する人たちによって、多くの国民が犠牲になっています。


すべてをお見通しの神がおられなければ、この世はただ不公平で終わってしまいますが、神の言葉
神を恐れよ。神の命令を守れ。これが人間にとってすべてである。神は、善であれ悪であれ、あらゆる隠れたことについて、すべてのわざをさばかれるからである(伝道者の書12:13-14)
こそ、恐れるべき最後通告です。