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第320号  黙示録17:1-2、:15-18:5、:8

弱肉強食の獣のパタン

「この女の罪に関わらないように…彼女のところから出て行きなさい」と、創造者なる神はご自分の秩序、権威、支配に反逆する、人の手に成る邪悪な総体制からの離脱を促しておられます。これは、全聖書が一貫して告げている警告です。獣の体制に迎合し、この世を楽しむ道を選ぶのではなく、死をも覚悟の上で獣から離れ、神の民の「残りの者」になることが究極的な勝利への唯一の道なのです…


また、七つの鉢を持つ七人の御使いの一人が来て、私に語りかけた。「ここに来なさい。大水の上に座している大淫婦に対するさばきを見せましょう。地の王たちは、この女と淫らなことを行い、地に住む人々は、この女の淫行のぶどう酒に酔いました。」……


また、御使いは私に言った。「あなたが見た水、淫婦が座しているところは、もろもろの民族、群衆、国民、言語です。あなたが見た十本の角と獣は、やがて淫婦を憎み、はぎ取って裸にし、その肉を食らって火で焼き尽くすことになります。それは、神のことばが成る時まで、神はみこころが実現するように王たちの心を動かし、彼らが一つ思いとなって、自分たちの支配権を獣に委ねるようにされたからです。あなたが見たあの女は、地の王たちを支配する大きな都のことです。」

その後、私は、もう一人の御使いが、大きな権威を持って天から下って来るのを見た。地はその栄光によって照らされた。彼は力強い声で叫んだ。「倒れた。大バビロンは倒れた。それは、悪霊の住みか、あらゆる汚れた霊の巣窟、あらゆる汚れた鳥の巣窟、あらゆる汚れた憎むべき獣の巣窟となった。すべての国々の民は、御怒りを招く彼女の淫行のぶどう酒を飲み、地の王たちは彼女と淫らなことを行い、地の商人たちは、彼女の過度のぜいたくによって富を得たからだ。

それから私は、天からもう一つの声がこう言うのを聞いた。「わたしの民は、この女の罪に関わらないように、その災害に巻き込まれないように、彼女のところから出て行きなさい。彼女の罪は積み重なって天に達し、神は彼女の不正を覚えておられるからです。……

これらのことのため、一日のうちに、様々な災害、死病と悲しみと飢えが彼女を襲います。そして、彼女は火で焼き尽くされます。彼女をさばく神である主は、力ある方なのです。」 黙示録17:1-2、:15-18:5、:8


冒頭に引用した黙示録17章から18章のくだりは、終末末期、大艱難期に突入する直前の「大バビロン」として象徴されている世界統一宗教の滅びの預言です。この後、サタン自身の支配に取って代わられ、同様に大バビロンとして象徴されている、商業的、経済的世界統一組織がしばらくはこの世を支配しますが、ついには滅びることになります。続く、

この女の罪に関わらないように…彼女のところから出て行きなさい

とは、創造者なる神の秩序、権威、支配に反逆する、人の手に成る邪悪な総体制からの離脱への促しです。言うまでもなく、現時点では、これらの預言はまだ成就していませんが、昨今、全世界で起こっていることを鑑みますと、間違いなくそのような体制樹立に向かっているようです。


今月は、この預言が明確に示唆している滅びに向かうパタンに留意したいと思います。黙示録17章の冒頭に登場する「大淫婦」、―神に対する霊的姦淫を象徴する用語で、明らかに背信の教会と信奉者たち― は、戦争、飢饉、疫病、食糧難、無法化、憎しみ合いで荒れすさみ、平和を求め始めるこの世の人々に救いの手を差し延べ、人々の信頼を得、世界中に絶大な支持層を持つに至ります。獣の体制は自らの体制を世界的に確立するために、この大淫婦の影響力を利用します。しかし、太古の昔から自らを神として拝ませることだけが念願であった悪魔は17章の最後に描かれているように、背信の大淫婦の宗教を究極的に受け入れる気持ちは毛頭なく、不要になった時点で、領土、資産、組織、影響力等、すべてを剥奪し、殺害します。

これが、獣の体制下に置かれた人々の行く末で、情け容赦もなく「人を殺すか、隷属下に置く」ことしか望まない獣が用いる弱肉強食のパタンです。獣の体制にくみする人々、諸国家は獣の意のまま、一心同体となって行動し、大淫婦殺害に加担します。それまで王たちは大淫婦の霊性、富、支配力から益を得、あたかも「大淫婦」が獣とその信奉諸国を支配しているように見えたわけですから、大逆転が起こるのです。しかし、神の視点からいえば、

それは、神のことばが成る時まで、神はみこころが実現するように王たちの心を動かし、彼らが一つ思いとなって、自分たちの支配権を獣に委ねるようにされたからです

ということになります。このようにして、背信の大淫婦に対する神の裁きが獣を通して下ることになります。


「王たち」は、「獣のしるし」とは知らずに、ただ自ら生き延びるために、この世の諸体制への認可証獲得を競い、それが悪魔の支配下に陥ることになるとは思わないかもしれません。たとえば、大勢に従って受け入れた「獣のしるし」が何か磁気を帯びたものであれば、電磁パルスによって送られた外部指示に反射的に応答し、意志とは無縁に殺人行為に関わるということは十分起こり得ることです。あるいは、この世の特権に目がくらんだ王たちは、自らの選択で「獣のしるし」を受け、獣の支配下ですべてが望み通り、順調に導かれることに酔いしれ、心身までが獣に支配されてしまっていることに気づかないかもしれません。

彼女のところから出て行きなさい

は、聖書が一貫して告げてきた警告でもあります。獣の体制に迎合し、この世を楽しむ道を選ぶのではなく、死をも覚悟の上で獣から離れ、神の民の「残りの者」になることが、究極的な勝利への唯一の道なのです。私たちは日増しにその決断が迫られる「艱難期」に近づいています。


三ヶ月前に勃発したウクライナでの代理戦争にこの獣のパタンが現れ始めているように思います。獣の体制は人を利用できる間は酷使し、不要となれば廃棄するというパタンで同時多発的に、お膳立てした戦争を始めることは十分考えられます。実際、そのような計画があることはうわさに上っています。

コロナ禍に始まって、三ヶ月前から段階的にロシアに課された経済制裁の結果、現在、世界的な物流の滞りによる食糧難、燃料、肥料不足で農耕作不可や穀物在庫レベルの極度の低下だけを取り上げても、危機的な状況であることは明らかです。5月22日の記事で現在、世界の小麦供給量がわずか10週間分であること、また、世界中の小麦栽培地域で二十年ぶりに深刻な干ばつが発生していること、コーンや他の穀物も同じ問題に直面していることが国連安全保障理事会で警告されました。もし、この状態が高じれば、世界的食糧暴動、動乱、革命へと進展し、スリランカですでに起こっているように、政府崩壊の危機が相次ぐことになります。

新型コロナウイルス感染は世界的に取り沙汰されなくなっていますが、5月初めにグランカナリア島で八万人の集会参加者の間でサル痘が広がったことが報告されました。その後、科学者には解明できない方法でイスラエルから北欧、西欧、米国、カナダの十三ヶ国に飛び火し、感染力の強さが強調されています。米国政府は記録的な速さで1300万人用の1億1900万ドル相当のサル痘ワクチンを発注し、英国も調達を発表しました。コロナ感染のときと同じように、感染恐怖を解消するため、ワクチンが強制されそうな勢いですが、接触感染のサル痘はごく限られたグループの人たちの間で広がっているようで、すべての人たちが無意味に感染を恐れる必要はないようです。

4月末に、ヒトにおける鳥インフルエンザ(H5N1)の陽性症例が米国で確認されたことにより、今後、致死率が10~50%の鳥インフルエンザが大流行する可能性を警告している人もいます。中国でも4月末に、鳥インフルエンザ(H3N8)の最初のヒト感染が報告されました。5月半ばの報告によれば、COVID-19とは比較にならないほど深刻な、現在世界的に急拡大している五つの疫病があり、エボラ出血熱、鳥インフルエンザ、原因不明の肝炎、日本脳炎、コロラド州で流行の馬を殺す謎の病気とのことです。まさに聖書が預言している終末末期の疫病の襲来です。


このように、次から次へと疫病が世界的に流行すれば、感染症に対する世界的権限の行使が当然認められるべきであるとの主張で、世界保健機関(WHO)は2024年実施を目標に、「パンデミック条約」を提案しました。このWHOの主張する憲法はパンデミックが発生した場合、諸国家の憲法に優先し、各加盟国がWHOの課す都市封鎖、管理体制の検査、医療介入の強制に全面的に従うことを要求します。パンデミック時には、WHOが全加盟国とその国民に対し非民主的な絶対権を行使することを認めるというのが、この条約なのです。

黙示録は、世界の宗教、政治、経済、金融、文化のすべてを全体主義体制下に置く、獣が完全に支配する三年半を「大艱難期」と呼んでいます。獣に忠誠を尽くすことによって獣の体制に生き残り、獣の王国への出世街道を上り詰めた王たちは獣とともに「獣のパタン」に従って、神の民を迫害し、多くの信徒は殉教します。

しかし、神の民はその後に真の希望が約束されていることを思い起こす必要があります。冒涜が許された期間が過ぎると、再臨のキリストが御言葉によって一瞬のうちに彼らを滅ぼされるのです。