神がネブカデネザル王に預言的に顕された「異邦人の時」のビジョン
バビロン王ネブカデネザルの夢、「巨大な像」に象徴された「異邦人の時」 の預言が指し示す人間史の終焉
イスラエルの地とエルサレムが異邦人の支配下に置かれる「異邦人の時」は、天からの御国の到来、―再臨のキリストが君臨されるメシヤの御国―によって、終わりを告げる
王さま。あなたは一つの大きな像をご覧になりました。見よ。その像は巨大で、その輝きは常ならず、それがあなたの前に立っていました。その姿は恐ろしいものでした。その像は、頭は純金、胸と両腕とは銀、腹とももとは青銅、すねは鉄、足は一部が鉄、一部が粘土でした。あなたが見ておられるうちに、一つの石が人手によらずに切り出され、その像の鉄と粘土の足を打ち、これを打ち砕きました。そのとき、鉄も粘土も青銅も銀も金もみな共に砕けて、夏の麦打ち場のもみがらのようになり、風がそれを吹き払って、あとかたもなくなりました。そして、その像を打った石は大きな山となって全土に満ちました。
これがその夢でした。私たちはその解き明かしを王さまの前に申し上げましょう。王の王である王さま。天の神はあなたに国と権威と力と光栄とを賜い、また人の子ら、野の獣、空の鳥がどこに住んでいても、これをことごとく治めるようにあなたの手に与えられました。あなたはあの金の頭です。あなたの後に、あなたより劣るもう一つの国が起こります。次に青銅の第三の国が起こって、全土を治めるようになります。第四の国は、鉄のように強い国です。鉄はすべてのものを打ち砕いて粉々にするからです。その国は鉄が打ち砕くように、先の国々を粉々に打ち砕いてしまいます。あなたがご覧になった足と足の指は、その一部が陶器師の粘土、一部が鉄でしたが、それは分裂した国のことです。その国には、鉄の強さがあるでしょうが、あなたがご覧になったように、その鉄はどろどろの粘土と混じり合っているのです。その足の指が一部は鉄、一部は粘土であったように、その国は一部は強く、一部はもろいでしょう。鉄とどろどろの粘土が混じり合っているのをあなたがご覧になったように、それらは人間の種によって、互いに混じり合うでしょう。しかし鉄が粘土と混じり合わないように、それらが互いに団結することはありません。
この王たちの時代に、天の神は、一つの国を起こされます。その国は永遠に滅ぼされることがなく、その国は他の民に渡されず、かえってこれらの国々をことごとく打ち砕いて、絶滅してしまいます。しかし、この国は永遠に立ち続けます。あなたがご覧になったとおり、一つの石が人手によらずに山から切り出され、その石が鉄と青銅と粘土と銀と金を打ち砕いたのは、大いなる神が、これから後に起こることを王に知らされたのです。その夢は正夢で、その解き明かしも確かです。』 ダニエル書2:31-45
先月は、ネブカデネザル王が絶頂期にあったとき起こった、信じられないような挫折からの奇蹟的な回復の出来事、ネブカデネザル自身が信仰告白でつづった劇的な回心の出来事を学びました。このダニエル書4章で、ネブカデネザルに起こったことには、預言的に終末末期に起こる異常事態が物語られていました。
今月も、神がパレスチナに興亡する「異邦人の時代」を、ネブカデネザルにビジョンを通して預言的に顕されたことを預言者ダニエルが解釈したことを通して、今日神が、私たちに何を語っておられるのかを学ぶことにしましょう。イスラエルの地とエルサレムが異邦人の支配下に置かれる「異邦人の時」の概念は、ダニエル書で導入され、バビロンのネブカデネザルによる神の民イスラエルのバビロン捕囚を皮切りにこの時代は始まりました。キリストご自身、言及されたこの時代
「人々は、剣の刃に倒れ、捕虜となってあらゆる国に連れて行かれ、異邦人の時の終わるまで、エルサレムは異邦人に踏み荒らされます」(ルカ21:24)
は、冒頭に引用したダニエル書2章のネブカデネザルの見たビジョン「巨大な像」に象徴された時代でした。
像の「金の頭」はバビロン帝国、「銀の胸と両腕」はメディヤ・ペルシャ帝国、「青銅の腹ともも」はギリシャ帝国、「鉄のすね」はローマ帝国、「鉄と粘土の入り混じった足」は終末末期、ローマ帝国から派生する連合諸王国を象徴するもので、これら人間の王国はすべて、ついに「人手によらずに切り出された」天からの石によって粉々に打ち砕かれ、究極的には、メシヤの王国が永久に地を支配することになるというビジョンでした。キリストがガリラヤ宣教をされた時代は、この像の第四番目の「鉄の王国」ローマが中東を支配していた時代で、それからほぼ二千年を経た今日は間違いなく、第五の、一番弱い混成王国に至る時代を象徴しています。
この像が象徴している金属の比重の比較から明らかなように、人の築きあげる王国が、多くの人々が考えているように文明とともに進化するという類のものではなく、反対に、金から粘土へと、もろく退化していくものであることを描写しています。人の築きあげる王国の歴史は先細りで、ついには積みあげられてきた邪悪さ、神への反逆の重みで、自滅することになるのです。ダニエルは、異邦人王ネブカデネザルに、王自身内容を思い出すことができなかった悪夢、秘密の夢を説明し、なおかつその解き明かしをすることによって奇しくも、私たち、終末末期に生き、神の預言を真剣に捉える者たちに直接関係する重大なメッセージを、残してくれたのでした。
人間の諸王国が第四までは一国で構成されていますが、最後の第五は、おそらく足の指の数、十に匹敵する諸王国の集まり、混成王国で、このアイデアは、聖書の原則に反した要素から成り立っているものです。
「あなたがたは、わたしのおきてを守らなければならない。あなたの家畜を種類の異なった家畜と交わらせてはならない…また、二種類の糸で織った布地の衣服を身に着けてはならない」(レビ記19:19)、「ぶどう畑に二種類の種を蒔いてはならない。あなたがたが蒔いた種、ぶどう畑の収穫が、みな汚れたものとならないために。牛とろばとを組みにして耕してはならない」(申命記22:9-10、下線付加)
というように、異邦人社会の風習に一線を画する行為をご自分の民に命じられた神は、その結末がもたらす惨事をすでにご存じだったので、掟を定められたのでした。神が命じられたことに、被造物は理由、理屈づけを要求する必要はなく、ただ従うことが求められています。それが最善の道だからです。この世の視点からは安定しているように見えても、異質な二者が混じり合うことはなく、決して安全ではない結合が、ダニエルが用いた
「鉄とどろどろの粘土が混じり合っているのをあなたがご覧になったように、それらは人間の種によって、互いに混じり合うでしょう。しかし鉄が粘土と混じり合わないように、それらが互いに団結することはありません」(下線付加)
という不気味な表現にほのめかされています。このような恐ろしい性質の混成王国が終末末期、反キリストによってもたらされることになるのです。
この言葉の不気味さに留意することは大切です。二十世紀の二度に亘る世界大戦の後、二十一世紀にかけて、この世は、コンピューター工学、レザー光線や粒子ビームなどによる指向性エネルギー兵器、先端技術による監視システム、各国政府による監視制度の傾向(日本では、「マイナンバー制度」導入)、衛星による監視やサイバー攻撃、遺伝子操作、遺伝子接合で生み出されたスーパー兵士、マイクロチップが埋め込まれた超知性の新人種等々を生みだすことに全力投球し、最近では、歯止めが効かない悪魔的な試みが水面下でどんどん推し進められています。
世界中の国々が国家財政をそのような得体の知れない領域につぎ込み、自滅への道を早めているかのようです。核開発がそうであったように、神から離れ、教訓を学ぶことのない人の歴史は過ちを繰り返します。人道的な改善、発展、善意の目的で始めたことがいつの間にか悪の手に落ち、取り返しのつかない滅びの人間史に至ることは、今日、目に見えています。それは聖書が明確に預言していることで、もうその秒読み段階のときに差し掛かったといえるかもしれません。
もし日本に、そのような自滅の道からこの国の壊滅を救うことのできる道があるとしたら、七十年間保たれてきた「平和憲法」を死守することのみです。軍事産業を一切破棄し、国家間の軍事同盟を破棄し、すべてを支配しておられる神にのみ国家の安全を委ねるとき、神は間違いなく働かれます。真の神の御旨に逆らうことから完全に手を引き、神の喜ばれる生き方をするなら、神の守りの奇蹟を体験することができるのです。
「主は、ご自分の羽で、あなたをおおわれる。あなたは、その翼の下に身を避ける。主の真実は、大盾であり、とりでである…千人が、あなたのかたわらに、万人が、あなたの右手に倒れても、それはあなたには、近づかない…それはあなたが私の避け所である主を、いと高き方を、あなたの住まいとしたからである。わざわいは、あなたにふりかからず、えやみも、あなたの天幕に近づかない。まことに主は、あなたのために、御使いたちに命じて、すべての道で、あなたを守るようにされる」(詩篇91:4-11)。
聖書が人の手によるものではなく、「神ご自身の書」であることを信じる日本の方々は皆さん今、この約束を信じてください。
聖書は、世界中の神話に登場する人獣混淆の動物、キメラのような神の創造外の被造物を生みだすことを禁じていますが、ノアの洪水直前の時代は、そのようなキメラ「ネフィルム」が地に満ちた時代であったことを語っています。神学者たちは、聖書の中にこのような神話的要素を持ち込むことを嫌いますが、ノアの世界的大洪水が起こって、当時の遺伝学的に汚れた全地、被造物が滅ぼされたという考古学的、歴史的事実自体がこの時代、神への大変な反逆が起こったことを裏づけています。
今日、サタン、堕天使、悪霊の働きは至る所で見られます。UFOや異星人による拉致といった類のニュースは架空のことではなく、現象としては現実問題ですが、その出所はまず間違いなく悪魔的で、決して友好的、無害なものではないことを銘記しておくことは大切です。ノアの時代、遺伝子操作によって生み出された怪物、人と堕天使とのキメラを神が洪水によって滅ぼされたとしたら、また、神が「またその後にも、ネフィリムが地上にいた」(創世記6:4)と預言されたように、実際、神の民イスラエルが約束の地カナンに入植したときには全地に満ちていたように、世の終わりにも登場するとしたら、そのような遺伝子操作が当たり前になった今こそ、その時代であるといえるのです。
黙示録に登場する反キリストや偽預言者はそのようなキメラだと思われますが、ヨハネが「人」としてではなく、「獣」として描いていることからもこのことは明らかです。ダニエルは、第五の人の王国を、政略結婚による国家間の結びつきというのではなく、「人間の種」と「獣の種」とが遺伝子操作によってどろどろに混じり合った状態として描いたかのようです。
聖書では「人間の種」は、神のご計画を成し遂げる救いの鍵言葉として登場します。アダムとエバの種からノアの種を通して、アブラハムの種、イサク、ヤコブからユダ、ダビデの種、そのダビデの種から救い主イエス・キリストによる全人類救済へと神の約束は「女の種」(邦訳では「女の子孫」、創世記3:15)にかかっています。もし「女の種」が堕落すれば、神の贖いのご計画を破壊することができるため、悪魔は、エデンの園で自らの滅びが宣言されたとき以降、この「人間の種」の堕落に全力投球してきたのでした。
異種交配、ハイブリッド生成のアイデアが当たり前になってきている今日、悪魔が人を誘惑することは簡単で、ノアの時代の悪夢は、キリストが警告されたように急速に忍び寄っているのです(マタイ24:37-39)。