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第275号   エゼキエル書26:15-20

失われた都アトランティス


失われた都アトランティスが、聖書によく登場する「タルシシュ」であったことが、先端的科学技術を用いての長期に亘る探索を経て明らかにされた。昨今、隠されていた多くのものが明らかにされてきている。まさにキリストのお言葉「隠れているもので、あらわにされないものはなく、秘められたもので知られないもの、明らかにされないものはありません」の成就である…


神である主はツロにこう言われる。「刺された者がうめき、おまえの中で虐殺が行われるとき、おまえが崩れ落ちるその響きに、島々が揺れ動かないだろうか。海の君主たちはみな、その王座から降り、上着を脱ぎ捨て、あや織りの衣服を脱ぐ。彼らは戦慄を身にまとって地面に座り、おまえのことで絶えず身震いし、唖然とする。彼らはおまえについて哀歌を唱えて言う。
海に住む者よ。おまえはどうして海から消えうせたのか。その町と住民は海で最も強く、ほめそやされた町であったのに。その町の住民すべてに、恐怖がもたらされた。今、島々はおまえが崩れ落ちる日に身震いし、海の島々はおまえの退却を見てうろたえる。」
まことに、神である主はこう言われる。「わたしがおまえを廃墟の町とし、住む者のない町々のように
するとき、大水をおまえの上に湧き上がらせ、豊かな水がおまえをおおうとき、わたしはおまえを、穴に下った者たちとともに、昔から廃墟であったような地下の国に住まわせる。わたしが誉れを与える生ける者の地におまえが住めないようにするためだ。         エゼキエル書26:15-20(新改訳2017)

…海の出入り口に住み、多くの島々の民と取り引きをする者よ、神である主はこう言われる。ツロよ、おまえは、「私は美の極みだ」と言った。おまえの領土は海の真ん中にあり、おまえを築いた者は、おまえを最高に美しく仕上げた… タルシシュは、おまえがあらゆる財宝に富んでいたので、おまえと商いをし、銀、鉄、すず、鉛をおまえの商品と交換した…ユダとイスラエルの地もおまえと取り引きをし、ミニテの小麦、きび、蜜、香油、乳香をおまえの商品と交換した…タルシシュ船がおまえの商品を運んだ。おまえは大海のただ中で満ちあふれて、大いに栄えた…おまえの商品とおまえの全集団が、おまえとともに海の深みに沈むとき、島々の住民はみな、おまえのことで唖然とし、その王たちはおぞ気立ち、慌てふためく。国々の民の商人たちはおまえを嘲り、おまえは恐怖のもととなり、とこしえに消え去る。』」       エゼキエル書27:3-36(新改訳2017)

エゼキエル書26~28章には、地中海の貿易都市ツロの滅びの預言が記されています。
バビロンによってエルサレムが陥落したのを商売敵の滅びとして喜んだツロに対して神の裁きが宣言され、この預言は332BCEに、ギリシャのアレクサンダー大王がツロの要塞、岩礁島を陥落させたことによって完全に成就しました。ツロの文明は都もろとも津波のように押し寄せたギリシャ軍によって跡形もなく滅びたのでした。
当時、長距離、長期間の航海に耐える大きな船は「タルシシュ船」と呼ばれ、パレスチナ沿岸のツロからもっとも遠方のタルシシュに向かってアジアや中東の貴重な商品を運んでいました。誇り高きタルシシュ船は、航海するすべての船に対する慣用句として用いられるほど知れ渡っていました。
しかし、タルシシュの場所は不明で、地中海の西の果てスペインの鉱山の港「タルテソス」か、あるいは、ヘロドトスの記述「ヘラクレスの柱(今日のジブラルタル海峡)を越えた」から、地中海を超えたどこかとみなされてきました。

2017年2月の「ナショナルジオグラフィック」にジェームズ・キャメロン監督のドキュメンタリーで、「失われたアトランティス大陸発見」が報道されました。
何千年も前に海中に沈んだとされるアトランティスを求めて、古代ギリシャから地中海、大西洋にかけて、先端的科学技術を用いての長期間の探索の過程で、キャメロン監督と探検チームは、アトランティスが聖書に関連しているとのびっくりするような発見に導かれたのでした。

アトランティスに関する資料はほとんどなく、四世紀BCEのギリシャの哲学者プラトンだけが、著書「ティマイオス」と「クリティアス」の中で、「ヘラクレスの柱を超えたところにある港町」、非常に高度な文明を持ったアトランティスについて書き残したのでした。プラトンは、ソロンと称する旅行者の口を通してこの非常に高度な文明都市が、自然災害によって一瞬のうちに泥と水におおわれたと、述べています。
プラトンがかなり詳細に記述しているにもかかわらず、多くの人々はそのようなことはあり得ないと主張し、しかもアトランティスという名の都を歴史的にも、考古学的にも見つけることができなかったため、この都の存在は長い間謎とされてきたのでした。
  
探検チームは、ギリシャ人が地名や人名をよく改名するという習慣を考慮し、まず、プラトンの記述に合う町探しに取り組みました。その結果、彼らはイベリア半島に導かれ、「タルテソス」として知られる古代都市とアトランティスが関連づけられることに気づいたのです。
三千年前、「タルテソス」が非常に富み栄えた強力な軍隊を持つ都であったことを記した工芸品や古文書は多く、まさにプラトンのアトランティスに関する記述に一致したのでした。しかも、この古代都市は「タルシシュ」として聖書に多く登場する港町であることにも気づかされたのでした

確かに、詩篇の預言的賛歌の中に港湾都市ツロ、あるいは、タルシシュ/アトランティスの崩壊を裏づけるような表現が見られることは興味深いことです。
主は大いなる方…神はその都の宮殿でご自分を砦として示された…東風によってあなたはタルシシュの船を砕かれる。私たちは聞いたとおりを見た。万軍の主の都、私たちの神の都で。神は都をとこしえに堅く立てられる…あなたのさばきのゆえにシオンの山が喜び、ユダの娘たちが楽しみますように…神は、死を越えて私たちを導かれる。(詩篇48篇)

神の送られた「東風」によって沿岸に押し寄せた津波で、国力、軍事力を誇り、近隣諸国を威嚇していた都(タルシシュの船の行く先)が一瞬のうちに崩壊したという知らせは、国力、軍事力はなくても神ご自身を「砦」として依存していた神の民にとって、どんなに大きな救いだったことでしょう。このコラ人の賛歌には、その感動が歌われています。
また、預言者ヨナは神のご命令に従うのが嫌で、一番遠い所に逃れようとタルシシュ行きの船に乗ったのでしたが、大嵐に遭い、海に投げ込まれてしまいました。その後大きな魚に飲みこまれ、乗船した地に生きて吐き出されるという奇蹟を体験し、結局神のご命令どおり異邦人の都ニネベで伝道することになったのでしたが、ヨナが経験した暴風は、ジブラルタル海峡域に特徴的な気象現象のようです。

探検チームの説明では、タルシシュ/アトランティスは、最初はイスラエルの出エジプトの頃、最後はソロモン王の後の時代にかけて何度も津波に襲撃され、ついに海面下に消えたと考えられるようです。
発見された三千五百年前の青銅器時代の彫り物は古代の社の壁に彫られていたもので、アトランティスが津波に滅ぼされた後、難民となった人々が都の悲劇を追悼するために幾つかの社を建て、その壁に特徴的な彫り物を施し、アトランティスの再興を願って神々に祈ったと推測されるとのことです。
プラトンが描写したアトランティスの港は、海の神ポセイドンの長方形の神殿を中心として、海に通じる巨大な運河が三重の輪を描いて取り巻いているユニークなものでしたが、半球レンズの上に三重の輪が描かれたスペインの社の壁の特徴的な彫り物はまさにアトランティスの港湾都市を空中から見下ろしたように描いた図、俯瞰図であったようです。

さらに興味深いことに、スペインの社の一つの壁に彫り込まれた、三千年前と思われる彫り物には三重の輪の上半分が欠けて半円になっており、それは紛れもなく、イスラエル神殿のメノラ(七枝の燭台)を象徴しているのです。
このことから、聖書に登場するタルシシュにはイスラエルの文化がかなり浸透していたことがうかがえ、プラトンが詳細に記述したアトランティス、―富と軍事力を誇り、傲慢になったため神の裁き、大地震、大津波によって海中に沈没した都― は、地中海から、「アトラスの大洋」と表現された大西洋に道を開くジブラルタル海峡に栄えたタルシシュだったのです。
  
キリストは
隠れているもので、あらわにされないものはなく、秘められたもので、明らかにされないものはありません。(マルコ4:22)
と言われ、使徒パウロは、主が再臨される世の終わりに
主は、闇に隠れたことも明るみに出し、心のはかりごとも明らかにされます。(コリント人第一4:5)
と教えました。

今日が終末末期で、主の再臨が非常に近いことはいろいろな角度から明らかですが、隠れていたものが露わにされるという点で、昨今、これらの聖句が痛切に感じられる出来事が起こっています。
世界中に記録的な酷暑がもたらされた2018年は、長年地中、海中、山中に埋められてきた遺跡、遺構、残骸などが次々に姿を現す画期的な年になっています。干ばつのため枯渇した湖や海岸にかつて難破した船が現れるなどの情報が相次ぎ、猛暑のスイスでは氷河が溶け、七十二年前に標高3300mのアルプスに不時着し、雪に埋もれた米軍輸送機の残骸が出現しました。

また、英国では異常乾燥のため、年中青々している芝が枯れ、褐色になるなど異変が起こりましたが、今夏の熱波と干ばつによって古代の遺構や遺跡が地表にさまざまな模様を描いてくっきり浮かび上がる現象が至る所で起こりました。
今回、草原や畑に隠されていた先史時代、紀元前四千年から紀元前七百年の集落跡、墳墓跡、またローマ時代の住居、農園まで、さまざまな形の模様が航空写真で撮影されることになったからくりは、土壌に含まれている水分量の差にあるようです。古代の塀や土塁が埋まっている土地は水分をより多く含んでいるので地表の植物の生育がよく、干ばつのときもその部分だけは植物が残り、他方で、古代の遺構上の地では植物は育ちにくいので、気象条件が悪くなると、植物の丈、色に回りとの格差が生じることに拍車がかかったのでした。

まさに異常気象のおかげで、航空考古学研究者にとっては絶好の状態に導かれ、一、二箇所だけではなく、英国全土に一斉に多くの遺構、遺跡が出現することになったのでした。
  
すべて隠されていたものが明らかにされるときが来ると語られたキリストはまた、善行も宗教行事も祈りも、神がご覧になり、報いてくださるのは外的に表された行為ではなく、その人の心、動機であることを、
自分のために、地上に宝を蓄えるのはやめなさい…自分のために、天に宝を蓄えなさい。(マタイ6:19-20)
と、隠れたところで見ておられる神に報いられる行為の奨励として語られました。

昨今、二歳の男児を救出した尾畠春男さんや、タイ洞窟に閉じ込められた十三人の救出活動に参加した人たちをはじめ、人助けのために愛と無私の奉仕で生命をかけて働いておられる方々の善行に脚光が浴びせられています。