世の終わり、イスラエルに始まり、全世界に及ぶ神の裁き
黙示録的、―世界の終末を思わせる― 現象がとみに多くなっている昨今、イエス・キリストの再臨を信じ、メシヤが地上で支配される時代を待ち望む者が今、すべきことは何か?
見よ。主は地を荒れすたらせ、その面をくつがえして、その住民を散らされる。民は祭司と等しくなり、奴隷はその主人と、女奴隷はその女主人と、買い手は売り手と、貸す者は借りる者と、債権者は債務者と等しくなる。地は荒れに荒れ、全くかすめ奪われる。主がこのことばを語られたからである。地は嘆き悲しみ、衰える。世界はしおれ、衰える。天も地とともにしおれる。地はその住民によって汚された。彼らが律法を犯し、定めを変え、とこしえの契約を破ったからである。それゆえ、のろいは地を食い尽くし、その地の住民は罪ある者とされる。それゆえ、地の住民は減り、わずかな者が残される。…
地上の住民よ。恐れと、落とし穴と、わなとがあなたにかけられ、その恐れの叫びから逃げる者は、その落とし穴に落ち、落とし穴からはい上がる者は、そのわなに捕らえられる。天の窓が開かれ、地の基が震えるからだ。地は裂けに裂け、地はゆるぎにゆるぎ、地はよろめきによろめく。地は酔いどれのように、ふらふら、ふらつき、仮小屋のように揺り動かされる。そのそむきの罪が地の上に重くのしかかり、地は倒れて、再び起き上がれない。その日、主は天では天の大軍を、地では地上の王たちを罰せられる。彼らは囚人が地下牢に集められるように集められ、牢獄に閉じ込められ、それから何年かたって後、罰せられる。月がはずかしめを受け、日も恥を見る。万軍の主がシオンの山、エルサレムで王となり、栄光がその長老たちの前に輝くからである。
イザヤ書24:1-6、:17-20
『イザヤの小啓示録(黙示録)』と呼ばれるイザヤ書24章から27章の最初の一章には、冒頭に引用したように、世の終わりに神が反逆の全地に下される裁きの結果の絶望的な荒廃状態から、再臨のキリストがエルサレムで王となり、神に対する反抗分子、諸悪が除かれたこの世を支配される栄光の時代に至るまでの眺望が簡潔に描かれています。
神ご自身と神の摂理を無視し、神の掟にそむき、掟を書き換え、契約、―世界的な大洪水後、ノアとの間に神が結ばれた契約の対象は全人類― を破った全地の民の上に下るのは、旧約時代の神の諸預言者を通して再三再四警告されてきた滅びです。
イザヤはそのさまを、神に反逆して堕落して以降、文明を誇り、傲慢になった人類の、神がもたらされる天災に何の防御もできない無力さとして描いています。大地がその基から揺り動かされるような事態とは、まさに昨今世界中でかつてない頻度と強度で起こっている地震、火山爆発、津波、地滑り、洪水、竜巻、ハリケーン、モンスーン、台風、山火事に加え、隕石の落下や小惑星の接近への言及です。
今日起こっている現象には、聖書に記されている過去に起こった異常な出来事を想起させるものが多いことは注目に値します。過去、神の裁きの一環として、あるいは、本格的に起こる裁きの予兆、警告として神が超自然的にご介入された諸出来事が、昨今頻発しているのです。
このことを通して、聖書、―預言書であるだけでなく、れっきとした歴史書― にご自分を明確に顕された創造者なる神は、ご自分の存在を否定し、自我に生きるこの世の住民に、大自然や人類史をもすべて支配しておられるのは神ご自身であることを証明しておられるかのようです。
昨今の多くの例の中から、いくつか取り上げてみましょう。
8月21日に起こった天体現象、―非常に珍しい、米国大陸を横断して観測された皆既日食― が背信の米国への神の裁きの予兆として起こったことを裏づけるかのように、予測された災いが米国で相次ぎました。
8月から9月に米国をたて続けに襲った数々の強力なハリケーンの中で、ハービーとイルマはそれぞれ雨量と風力で最大級の壊滅的な被害をもたらしました。ハービーは一つの嵐がもたらした雨量では最大の合計1.3mの新記録で、損害額千五百億ドル以上と見積もられた大洪水をテキサス州にもたらしました。ひき続き、かつて大西洋上で発生した中で観測史上最強のハリケーン・イルマが、風速時速300㎞でカリブ海諸国を直撃した後、風力の衰えもなく、フロリダ半島に上陸しましたが、その結果は大災害に加え、海岸線から海が後退するという非常にまれな、驚くべき現象でした。
出エジプト後、イスラエルの民が紅海アカバ湾の岸に追い詰められ、逃げ場を失い、窮地に陥ったとき、神が海の中に道を設けられ、民を対岸のミデヤンの地(サウジアラビア)に導かれた奇蹟をほうふつとさせるような現象が起こったのです。
出エジプト記は「そのとき、モーセが手を海の上に差し伸ばすと、主は一晩中強い東風で海を退かせ、海を陸地とされた。それで水は分かれた」(14:21)と、奇蹟が強風によって起こされたことを明らかにしていますが、9月に起こった現象でも、強風にあおられ、大量の海水がすくい上げられ移動させられたため、いつもは海洋に覆われている海岸沿いの地が突然干上がり、船や海の哺乳類が浅瀬に乗り上げてしまうという予期しない出来事が、バハマ国とフロリダに起こったのでした。
自然の猛威は、テキサス州では海水を内陸に移動させ、大洪水を引き起こした一方で、バハマとフロリダでは陸沿いの海水を一気に深海に移動させたのでした。また、9月7日にメキシコ南部海岸でM8.1の大地震が起こった直後にも、グアテマラの海岸で海水が大きく後退し、海岸からもはや海が見えない状態になったことが報道されました。
さらに、9月21日にはブラジルの海岸で海水の後退現象が起こり、真空になった大嵐の目で水が嵐の外縁に向かって吸い上げられる状態が巨大な引き潮現象の要因と考えられる一方で、昨今たて続けに起こっているこのような異常現象は過去の記録にないようです。
メキシコでは、さらに9月19日にメキシコ市にM7.1の大地震、23日にはM6.2の余震とさらに地震が起こり、多くの被害者が出ました。ヘブル語(旧約)聖書の民数記は
…彼らの下の地面が割れた。地はその口をあけて…コラに属するすべての者と、すべての持ち物とをのみこんだ。(16:31-32)
と、神に属する聖絶のものを略奪したコラ一族に一瞬のうちに厳しい裁きが下ったことを記していますが、ユダヤ教のラビ、マティヤフ・グレイザーソンは、この聖句の文面下に聖書の暗号で、明確にメキシコ大災害が秘められていることを発見しました。
ラビによると、そこには、この一連の災いの傾向は続くことが示されているそうで、
わたしは光を造り出し、やみを創造し、平和(繁栄)をつくり、わざわいを創造する。わたしは主、これらすべてを造る者。(イザヤ書45:7)
それゆえ、わたしは天を震わせる。万軍の主の憤りによって、その燃える怒りの日に、大地はその基から揺れ動く。(イザヤ書13:13)
と宣言された神によって、世界的な地震の連鎖の火ぶたが切られたのです。
ラビは、世界的にこのコラの罪、―神を敬わないどころか、神を欺いて私腹を肥やす貪欲― が充満している、メシヤ来臨直前の悪に満ちたこの世に、地が口を開いて待ち構えていることを警告しています。
実際、世界中の地震活動はただならぬ率で増加しており、地球の構成上ほぼ90%の地震活動が環太平洋火山帯に集中しており、メキシコはその環上にあるのです。いうまでもなく、日本もこの火山帯上にあり、他の箇所で次々と起こる揺さぶりに連動して、地震、火山活動が活発化しているのです。
バリ島の最大の火山アグン山の噴火が9月半ば過ぎから大爆発の可能性の最大警戒レベル4で危ぶまれていましたが、幸いなことに、10月30日に警戒レベルが一段階引き下げられました。
バリ島では、9月に起こった一晩の大雨の後、ふもとの公園が何千羽ものすずめの死体で覆われるという怪奇現象が起こり、エゼキエルの預言(エゼキエル書38:20)、―終末末期のイスラエルの地の光景が描写された聖句で、危ぶまれる空の鳥、地の動物の棲息と、地震、火山爆発に言及― が思い出されたといいますが、海の哺乳類や魚、動物、鳥の突然の大量死の怪奇現象は原因が特定できないまま、世界中で増加の途にあるのです。
さらに、8月から始まって10月末になっても鎮火できず延焼している過去最悪の米国の山火事をはじめ、全世界で起こっている自然がもたらす大災害の脅威は、悪に汚れた全地に究極的な贖いをもたらすための神のテコ入れ、メシヤを迎えるための聖めの前段階とラビは捉えています。
8月10日に、インドネシアのある村を蛇行している川が突然血のように赤く変色し、魚が全部死ぬという村人を震撼させた出来事が起こりました。
地元では「王の浴場」として知られているこの川は、村人の生命の源で、畑の灌漑用水、いかだ乗りの観光産業に貢献する生計の基であったのに、この突然の変化で、牧歌的存在だった川は今や生き地獄になったといいます。
「王の浴場が血のような赤に変わる」という説明できない災いは、まさに、聖書の叙述、―イスラエルの民の出エジプト時直前の、エジプトに対する神の裁き―を、思い起こさせる不気味な現象ですが、原因は究明できていないようです。
似たような例が最近では所々で起こっているのです。最近の例では、10月16日に、ガーナの川が一夜にして血のように深紅に染まる出来事(ビデオ)が起こりました。
また、出エジプト時の八番目の災い、―いなごの大群が、地が暗くなるほどエジプト全土を襲い、地の草木の根から実まですべてを食い尽くした― をほうふつとさせるいなごの害が世界的現象になって来ています。
9月13日に、9月の半ばまでの一ヶ月間だけでも、異なった二つの地域で大規模ないなごの害が発生したことが報道されました。キューバの東南トリニダードと、南ロシアにおいてです。
トリニダードの住民は、かつてない規模のいなごの大群を殺虫剤の散布で穀物への害には何とか対処できでも、衣服、車から家にも路上にも群がるいなごに対処することは非常に厄介であることを訴えていました。南ロシアでは、いなごの大群で暗くなった空に向けて網を放ち、捕らえたいなごを釣り餌とする漁師の奮闘も見られ、雲のように覆う大群がうっとうしい一方で、モーセの掟では適正食品のいなごは食用にもでき、天からの恵みとの複雑な心境も交錯しているようでした。
両国ともユダヤ人とは縁のない国なので、この災いが神の憤りのしるしとみなすことはできないものの、二十世紀後半にいなごの発生率、攻撃期間の長さと強度が劇的に激減したことを考慮すると、最近の大規模で頻繁な攻撃は内省的に原因究明する必要があるというのが、ラビたちの見解のようです。
果たして今日起こっていることは冒頭にあげたイザヤ書の預言の成就でしょうか。
冒頭に引用した箇所では、1節でイスラエルの「地(エレツ)」で始まった預言は、21節で全世界の意の「地(アダマー)」に変わっており、このことは神の裁きがイスラエルから始まり、全世界に及ぶことを示唆しています。
今日、全世界に及び始めている神の裁きがどの程度進んでいるかを判断する鍵はどこにあるのでしょう。「主の再臨と世の終わりのとき、また、その前兆」を尋ねた弟子たちに対するキリストのお答え、マタイ24章14節にあるのです。
「御国の福音が全世界に宣べ伝えられたとき」キリストは再臨され、この世が終わり、冒頭のイザヤの預言が成就するのです。