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第321号  エレミヤ書25:15-38

全地をさばくお方は、公正を行うべきではありませんか?

昨今、アブラハムの抗議が心をよぎります:「正しい者を悪い者とともに殺し、そのため正しい者と悪い者が同じようになる…そんなことは絶対にあり得ないことです」…

まことにイスラエルの神、主は、私にこう言われた。「この憤りのぶどう酒の杯をわたしの手から取り、わたしがあなたを遣わすすべての国々に、これを飲ませよ。彼らは飲んで、ふらつき、狂ったようになる。わたしが彼らの間に送る剣のゆえである。」そこで、私は主の御手からその杯を受け取り、主が私を遣わされたすべての国々の民に飲ませた。まず、エルサレムとユダの町々とその王たち、高官たちに、彼らを今日のように廃墟とし、恐怖のもと、嘲りとののしりの的とするためである。また、エジプトの王ファラオと、その家来たち、首長たち、そのすべての民… 北国のすべての王たち、近い者も遠い者も一人ひとり、地の面のすべての王国である。そして、彼らの後でバビロンの王が飲む。…

あなたは彼らにこのすべての言葉を預言して言え。『主は高い所からほえ、聖なるみ住まいから声をあげられる。その牧場に向かって猛々しくほえ、ぶどう踏みをする者のように、地の全住民に向かって叫び声をあげられる。その叫び声は地の果てまでも響き渡る。主が諸国の民と争い、すべての肉なるものをさばき、悪者どもを剣に渡されるからだ。―主のことば― 万軍の主はこう言われる。見よ。わざわいが国から国へと移り行き、大いなる暴風が地の果てから起こる。その日、主に殺される者が地の果てから地の果てまでに及び、彼らは悼み悲しまれることなく、集められることなく、葬られることもなく、地の面の肥やしとなる。』」

牧者たちよ、泣き叫べ。群れの飼い主たちよ。灰の中を転げ回れ。あなたがたが屠られ、散らされる日が来たからだ。あなたがたは、尊い器が砕かれるように倒れる。逃げ場は牧者たちのうちから消え失せる。逃れ場は、群れの飼い主たちのうちから。牧者たちの叫ぶ声がする。群れの飼い主たちの鳴き声が。主が彼らの牧場を荒らしておられるからだ。平和な牧場も、主の燃える怒りによって荒れすたれる。主は若獅子のように仮庵を捨てた。虐げる者の怒り、主の燃える怒りによって彼らの国が荒れ果てるからだ。     エレミヤ書25:15-38


エレミヤ書25章は、イスラエルの第三次バビロン捕囚と近隣諸国への神の裁きの預言です。この章に至るまでに預言者エレミヤは、神が、民を養わないユダ王国の邪悪な王たち、宗教指導者たち、民に夢物語を語る偽りの預言者たちを裁かれることを語ってきました。特に、24章ではすでに第一次と第二次のバビロン捕囚が起こった時点で再度、二つのいちじくの籠を用いて、「良いいちじく」「悪いいちじく」との完全な分離、異なった行く先を視野に訴える預言で伝えています。社会通念とは正反対のメッセージ、すなわち、都エルサレムを離れ、捕囚先バビロンで民を幸せにするとの神のご計画、

わたしは、この場所からカルデア人の地に送ったユダの捕囚の民を…幸せにしようと彼らに目をかける。彼らをこの地に帰らせ、建て直して、壊すことなく、植えて、引き抜くことはない。わたしは、わたしが主であることを知る心を彼らに与える。彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。彼らが心のすべてをもってわたしに立ち返るからである

を、既成概念にとらわれ、聞く耳のない頑なな民に再度訴える必要があったからでした。

25章から29章にかけては、「悪くて食べられないあの悪いいちじく」にたとえられた、最後まで神に反逆した指導者をはじめユダの民と、バビロンをも含めた近隣の諸王国への裁きの概略が記されています。

神は、民を養う役割を果たさない国家指導者の反逆を見逃されることはなく、この世ではその暴虐が暴かれなくても、神の裁きを免れることはできません。ご自分の民イスラエルの指導者だけでなく、全世界の指導者が神の御前に申し開きをしなければならないときが必ず来ます。

今日、全世界で恐ろしい勢いで広がっている世界的指導者たちの専制君主的暴虐と犠牲になっている人民の苦しみの報道が多くなっています。人類史が太古の昔から、義なる神の摂理と公義によって支配されており、しばしの間サタンの支配が許されているにすぎないことをことを知らなければ、耐えられない情勢です。

新型コロナウイルス感染症が世界中に蔓延して二年半、全世界で疫病、災い、戦争、流血沙汰が相次いでいますが、今全世界で起こっていることの正確な情報を得ている人たちはどれほどいるでしょうか。日本も含め全世界で毎日、同じ決まった視点、内容の偏向報道ばかりが主流メディアを通して報道されているようで、現実に起こっていることがほとんど伝えられていないため、全世界の人々が目くらましにあっているのが現状です。


環境保護主義者と称するグローバリストが、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料が温室効果ガスを発生させ、気候変動を起こすと主張する物語を推し進めて久しくなります。

解決策は二酸化炭素CO2を大気中から除去することにあるとの彼らの主張で、化石燃料産業の閉鎖が世界的に推し進められてきました。米国のアイオワ州やイリノイ州では、農地が巨大な機械設置場に変えられ、機械によって大気中からCO2を吸い出し、炭素隔離形式で地下に隠す試みが始まったといいます。化石燃料製作所の工場が徐々に閉鎖され、そのため、計画停電も余儀なく実施されると、米国政府は発表したようですが、CO2の排出量を削減する試みに対しては、正当な反対意見があります。

植物は人や動物の食糧源であるだけでなく、CO2と水による光合成で生長し、人が生きるに必須な酸素を生み出す重要な役割を担っています。もし、CO2が削減されれば、世界中の植物量が減り、食糧難を招くだけでなく、大気中の酸素レベルも低下することになります。酸素不足が起これば、人や動物の脳や心臓に十分な酸素を補給できなくなり、生き物の死が起こります。

今日、世界中の指導者がこの理不尽な化石燃料撤廃を目標に石炭産業閉鎖、グリーンエネルギー(電力)志向、ガソリン不使用のクリーンエネルギー車志向へと拍車をかけてきましたが、ロシア・ウクライナ戦争によって中断、見直しが起こっています。

戦争直後から始まった欧米のロシアに対する無思慮な経済、金融制裁とロシアの知恵ある応答の応酬で、欧米が墓穴を掘っているのが隠せない事実です。欧州連合(EU)の大部分がルーブル建てで天然ガスをロシアから購入することを拒否しているので、大規模なエネルギー危機に瀕しているのです。秋から冬にかけてのエネルギー確保が深刻な問題になっているのです。

EU諸国が石油、ガス、原子力発電所を閉鎖し、風力と太陽光に依存する「農場」へと移行するため、計画停電が避けられなくなることによる弊害に気づき、グリーンエネルギーへの移行が決して計画通りにはいかないことを認識し始めていたとき、ロシアからの原油、天然ガス輸送が停止になる事態が勃発しました。そこで、長い間閉鎖されていた石炭火力発電所の再稼働に目が向けられたのです。まず、ドイツが石炭火力発電所の再開を発表し、オランダが続きました。オランダでは、2024年までの石炭火力発電所の生産制限を直ちに撤回することを決定しましたが、目標はあくまでも、グリーンエネルギーへの転換のようです。


米国が直面している深刻な問題は、2023年までにディーゼルエンジンオイルの供給が一掃される恐れです。ディーゼルエンジンを潤滑する最終オイル製品を製造するには酸化防止剤をはじめ多くの添加剤が必要とのことですが、これらの供給事業が停止されたことに起因して、今後4~8週間で、ディーゼルエンジンオイルがなくなり、ディーゼルエンジンが機能しなくなるとの問題です。

今回、ディーゼル燃料不足が日常生活にいかに関わっているかを改めて知り、その重要さに覚醒の思いです。トラック輸送ができなくても、輸送に列車や船を使用できるという考えが愚かであることにも気づきました。列車も船も巨大なディーゼルエンジンで走り、膨大な量のエンジンオイルを必要とするので、全く機能できず、物流の手段が一切断ち切られることになるのです。

発電所への石炭供給ができなければ、電力網は機能しなくなり、電気自動車の充電もできなくなります。ATMも銀行も郵便局も、便利な宅配便を届けるすべての運輸業もクレジットカードも機能しなくなり、卸売店、小売店への食品、生活必需品の配達も停止され、在庫がなくなる食糧難時代に入ります。耕作機械、建設機械なども使用できなくなるので、農業、建設業に支障をきたし、インフラの修理、改築も、救急車、消防車の出動もできなくなります。文明社会の崩壊です。


複雑に組織化され、構築された文明社会では一箇所の障害が多方面に影響を及ぼし、全体が麻痺してしまう現象を避けることはできません。昨今、この現象が世界中で次から次へとドミノ効果で広がり、歯止めがかからない状態です。

ロシア・ウクライナ戦争勃発前にすでに最悪の経済危機に陥り始めていたスリランカでは、食料、ガス、電気、その他の生存に必要な必需品が枯渇し、急速なインフレ、生活費の高騰、大規模汚職に対して広範な抗議活動が続いていましたが、6月18日、ある町の燃料が底をついたことを機に暴動が起こり、警察と軍隊が群衆に発砲し、数百人が負傷する流血沙汰に進展しました。ディーゼルエンジンオイル不足でスリランカでは列車が走れない状態で、社会は事実上、崩壊の一途にあり、国連は、「悲惨な人道危機」が進行中と警告しています。

74年前に独立国となったスリランカは開発途上国ではなく、大自然に恵まれ、インド南部の豊かな島国でした。それが現在は、食料、燃料不足から大混乱状態にあります。今日、EU諸国でもインフレに対する抗議デモが毎日のように起こっているとのことから、世界的に人民の不満の声は高まっており、スリランカ経済危機のパターンに従う、近未来の世界的崩壊が危ぶまれています


日本の食品店でリトアニアから輸入されたレトルト食品を見つけましたが、今、このリトアニアがEUの制裁体制に従い、ロシアの飛び地カリーニングラードへのロシアからの輸送を禁止しました。米国とNATO同盟国によるロシアを核戦争へと挑発する新たな意識的行為として警戒されています。人民を犠牲にして野心を達成することしか考えない各国の指導者に神の正しい裁きが下されることを祈るばかりです。