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第207号:マタイ24:1-30:「天のしるし」 皆既月食とイスラエルの主の例祭との不思議な関係

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イエスがオリーブ山ですわっておられると、弟子たちがひそかにみもとに来て言った。「お話しください、いつ、そのようなことが起こるのでしょう。あなたの来られる時や世の終わりには、どんな前兆があるのでしょう。」そこで、イエスは彼らに答えて言われた。「人に惑わされないように気をつけなさい……わたしの名を名のる者が大ぜい現れ……民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、方々にききんと地震が起こります。しかし、そのようなことはみな、産みの苦しみの初めなのです……わたしの名のために、あなたがたはすべての国の人々に憎まれます。また、そのときは、人々が大ぜいつまずき、互いに裏切り、憎み合います。また、にせ預言者が多く起こって、多くの人々を惑わします……しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われます……
だが、これらの日の苦難に続いてすぐに、太陽は暗くなり、月は光を放たず、星は天から落ち、天の万象は揺り動かされます。そのとき、人の子のしるしが、天に現れます。すると、地上のあらゆる種族は、悲しみながら、人の子が大能と輝かしい栄光を帯びて天の雲に乗ってくるのを見るのです。
マタイ24:1-30

神は天地を創造されたとき「光る物が天の大空にあって、昼と夜とを区別せよ。しるしのため、季節のため、日のため、年のためにあれ。また天の大空で光る物となり、地上を照らせ」(創世記1:14-15)と仰せられて、生き物の一生、生活環に太陽、月、星が深くかかわり、人は神からのしるしを天体の動き、変化を通して知ることになることを示されました。この聖句の14節の後半部はNIVでは「季節、日、年を示すためのしるしとなれ」で、用いられているヘブル語“オト”「しるし」には、ときのしるし、前兆の意があり、“モアディム”「季節」は、定められた「とき」、祭り、集まりの場などの意があります。前者は、カインのしるし(神の守りのしるし)や、ノアのしるし(神とすべての生き物との間の契約のしるし「虹」)にも用いられている用語です。天空の星は、神が地上の者たちに何かを示すために配置されたというのが聖書の主張で、宇宙空間にただ均等に、あるいは、不均等に散在しているのではなく、預言者イザヤが「目を高く上げて、だれがこれらを創造したかを見よ。この方は、その万象を数えて呼び出し、一つ一つ、その名をもって、呼ばれる。この方は精力に満ち、その力は強い。一つももれるものはない」(イザヤ書 40:26)と語ったように、神は御目的を持って、太陽、月、諸惑星、星、星座を造られ、名さえつけられたのでした。したがって、天体、彗星の周期的な回帰、流星が天球上に雨のように降り注ぐ流星雨、日食、月食などの現象は、聖書用語でいえば、「天のしるし」ということになるのです。「大地震があり、方々に疫病やききんが起こり、恐ろしいことや天からのすさまじい前兆が現れます……そして、日と月と星には、前兆が現れ、地上では、諸国の民が、海と波が荒れどよめくために不安に陥って悩み……天の万象が揺り動かされるからです」(ルカ 21:11-26、下線付加)と、キリストご自身、ご自分がこの地上に戻って来られる前に、このようなしるしが天に現れることを何度も繰り返し語られました。また「そのときには、世の初めから、今に至るまで、いまだかつてなかったような、またこれからもないような、ひどい苦難があるからです。もし、その日数が少なくされなかったら、ひとりとして救われる者はいないでしょう。しかし、選ばれた者のために、その日数は少なくされます」(マタイ24:21、下線付加)とも言われましたが、「かつてない大地震、かつてない津波、かつてないハリケーン、かつてない竜巻、かつてない洪水……」と、昨今、世界的に用いられることの多くなっている言葉はまさに、私たちがこの終末の末期に生きていることを裏づけています。

ヘブル語(旧約)聖書でも、「わたしは天と地に、不思議なしるしを現す。血と人煙の柱である。主の大いなる恐るべき日が来る前に、太陽はやみとなり、月は血に変わる」(ヨエル書2:30-31)のように、主の再臨直前の現象として、あるいは、神が地に力あるわざをなされるとき、送られる不思議な「しるし」として、万象が揺り動かされることが至る所に記されています。キリストは、地上で福音宣教を始められ、弟子とともに神の力あるわざを始められたとき、「わたしが見ていると、サタンが、いなずまのように天から落ちました」(ルカ10:18)と言われましたが、このときキリストは、天に起こった現象を地への「しるし」として説明されたのでした。このときを境に、サタンとその手下どもは、天界の居場所を失い、地の回りを徘徊する分際に成り下がったのです。イザヤがサタンについて語った預言の成就でした。キリストがこの世に「救い主」としてご降誕され、福音、―信仰による救い、神が一方的に差し出してくださった、唯一最後の救いの手段―が伝えられたことにより、神の人類救済のご計画は、終末、すなわち、救済史の最後のステージに入ったのです。

教会の時代は、異邦人への宣教の時代で、キリストがこの地上に再び戻られる再臨のときまで続きますが、その最後には、多くの預言者が告げてきた「ひどい苦難」のときが訪れます。これまでにも教会史のある時期はクリスチャンに対する迫害で彩られてきましたが、今世紀に入って、トルコ、エジプト、インド、中国、イスラム教徒の国々はじめ、キリスト教国とされている米国、英国、ヨーロッパでも迫害が広がっているのです。冒頭に一部を引用したマタイ 24 章のオリーブ山でのキリストの講話を含み、聖書には、終末の末期、再臨前の「産みの苦しみの初め」に起こる諸事が詳細に予告されていますが、多くの者を惑わす偽預言者、偽教師の出現、戦争と戦争のうわさ、地震、飢饉、疫病、真のキリスト者への迫害、激増する暴力、無法、不道徳、不正、暴動、略奪、虐待、家庭崩壊、憎み合い、愛の冷え等々ほか、今日の世界的現象である背信、神の定められた秩序、真理からの逸脱はどれも、紛れもなくこの時代が、キリストの再臨直前の世代であることを告げています。しかしそのような最悪の中でも、「この御国の福音は全世界に宣べ伝えられて、すべての国民にあかしされ、それから、終わりの日が来ます」とキリストが明言されたように、福音は、少しでも多くの人々を永遠の救いに入れるために、最後まで語られるのです。神の側の最善は最後まで罪人に向かって差し出されているので、主を受け入れ、従う者には、最後の一瞬まで絶望はないのです。

今日、インターネットの発達によって、この御国の福音はかつてない広域、文字通り、世界中に中東での最新情報とともに伝えられています。ヨハネは主の再臨の直前にエルサレムで起こる出来事、「ふたりの証人」の死と、その甦りのおそらく両方が、「もろもろの民族、部族、国語、国民に属する人々」、すなわち、全人類によって目撃されることを預言しています(ヨハネの黙示録 11:3-12)が、そこに描写されていることは、インターネット、世界中に張り巡らされたニュース・ウェブの普及によって、同時多発的に世界中の人々が世界の片隅で起こっている出来事を目撃できるようになった今日、初めて実現可能になった最新文明の所産なのです。

この最後の世代への神のメッセージとして、非常に興味深い天体現象が2014年から2015年にかけて起ころうとしています。今世紀に入って、現行のグレゴリオ暦の 2008年、2009 年、2010 年の七月から八月にかけて、部分日食が起こりましたが、奇しくも、これはどれもイスラエル暦の「アブの月の一日」に起こりました。続いて起こると天文学的に予測されている月食、日食は、次表のようにすべて、神がモーセを通して守ることを命じられた「イスラエルの主の例祭」の時期に一致して起こることがNASAのデータで明らかにされています。

2014年4月15日 皆既月食 イスラエル暦5774年ニサンの月の15日 過越の祭り
10月8日 皆既月食 イスラエル暦5775 ティシュリの月の14日 仮庵の祭り前夜
2015年3月20日 皆既日食 アダルの月の29日 イスラエル宗教暦、新年の前夜
4月4日 皆既月食 ニサンの月の15日 過越の祭り
9月13日 部分日食 エルルの月の29日 イスラエル民事暦、新年とラッパの祭りの前夜
9月28日 部分月食 イスラエル暦5776年ティシュリの月の15日 仮庵の祭り

このように、二年間の四回の月食がすべて、イスラエルの三大例祭のうちの最初と最後の重要な例祭、「過越」と「仮庵」に重なることは異例なことで、今後四百年間は起こらないことがNASAの天文学的データから分かっています。ところが、この非常にまれにしか起こらない現象が、二十世紀に二回起こったこともデータから明らかになっています。二十世紀のいつ、この四回の月食が「過越」と「仮庵」の祭りに重なったかを知ることは、これがまさに、神が送られた「天のしるし」であったことを裏づけているので重要です。最初は 1949年から1950年にかけて、二度目は1967年から1968年に起こりました。イスラエル国家が国連の承認によって突如誕生したのは 1948 年で、アラブ諸国の熾烈な反対にもかかわらず、イスラエル国家が千九百年ぶりに復興したこの出来事は紛れもない神のご介入の結果でした。この神の民イスラエルにとっての時代を画する出来事を追うかのように、主の例祭日に四回続きの月食が起こったのでした。二度目は、アラブ諸国の奇襲攻撃によって、イスラエルが「六日戦争」に巻き込まれた 1967 年にやはり、四回続きの月食が起こりました。このときも神のご介入により、無防備のイスラエルの勝利で六日間で戦争終結することができ、首都エルサレムをアラブ諸国の支配から完全に解放することもできたのでした。このように、イスラエルに起こったこれら画期的な出来事と、四回続きの主の例祭時の月食現象とは明らかに無縁ではないのです。

さらに、このような四回続きの月食と主の例祭との重なりは、それ以前では、はるか前、1493年に起こったことが分かっています。1492年は、スペインの王家に仕えたイタリア人クリストファー・コロンブスがアメリカ大陸を発見した年で、同時に、ユダヤ人国外追放令が発布され、スペインからユダヤ人全員が追放されたのでした。過去のこのように特徴的な月食がイスラエルに起こった出来事に関連していることを発見したユダヤ人ラビのマーク・ビルツは、月食はイスラエルへの、日食は異邦人へのメッセージであると主張しています。果たして神は近未来に起こる天体現象を通して、どのようなメッセージを告げようとしておられるのでしょうか。しかし、たとえこの天文学的データから予測されている年の前後にイスラエルに特に大きな出来事が起こらないとしても、主の初臨のとき、マギを導くために神が超自然的なご介入で、しるしの「星」を送られたように、再臨のときも、天文学的には予測できないご介入で、「天のしるし」を送られることになるでしょう。