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第247号  ヨハネの黙示録17:1-6、18:1-4 

「わが民よ。この女から離れなさい」とは?

全諸国民に、天災、人災を通して語りかけておられる神。
「もし、わたしがわざわいを予告したその民が、悔い改めるなら、わたしは、下そうと思っていた災いを思い直す」
また、七つの鉢を持つ七人の御使いのひとりが来て、私に話して、こう言った。「ここに来なさい。大水の上にすわっている大淫婦へのさばきを見せましょう。地の王たちは、この女と不品行を行い、地に住む人々も、この女の不品行のぶどう酒に酔ったのです。」それから、御使いは、御霊に感じた私を荒野に連れて行った。すると私は、ひとりの女が緋色の獣に乗っているのを見た。その獣は神をけがす名で満ちており、七つの頭と十本の角を持っていた。この女は紫と緋の衣を着ていて、金と宝石と真珠とで身を飾り、憎むべきものや自分の不品行の汚れでいっぱいになった金の杯を手に持っていた。その額には、意味の秘められた名が書かれていた。すなわち、「すべての淫婦と地の憎むべきものとの母、大バビロン」という名であった。そして、私はこの女が、聖徒たちの血とイエスの証人たちの血に酔っているのを見た。私はこの女を見たとき、非常に驚いた。
この後、私は、もうひとりの御使いが、大きな権威を帯びて、天から下って来るのを見た…「倒れた。大バビロンが倒れた。そして、悪霊の住まい、あらゆる汚れた霊どもの巣くつ、あらゆる汚れた、憎むべき鳥どもの巣くつとなった。それは、すべての国々の民が、彼女の不品行に対する激しい御怒りのぶどう酒を飲み、地上の王たちは、彼女と不品行を行い、地上の商人たちは、彼女の極度の好色によって富を得たからである。」それから、私は、天からもう一つの声がこういうのを聞いた。「わが民よ。この女から離れなさい。その罪にあずからないため。また、その災害を受けないためです。     ヨハネの黙示録17:1-6、18:1-4
4月14日から16日にかけて熊本県、大分県の三つの異なった断層に大地震が立て続けに起こり、最初に起こったマグニチュード(M)6.5、震度7の大地震が前震で、16日に起こったM7.3、震度6強が本震という前代未聞の大地震の連鎖反応で、その後も、二週間余のうちに震度1以上の余震が千回を超すという異例な地震活動が続いています。単発的に起こる大地震でも致命的なのに、今回は、地震連鎖による予測不能の建造物、家屋倒壊、阿蘇山の小規模噴火後の再噴火の可能性、降雨による不特定多数の土砂崩れが引き起こしかねないさらなる災害への警戒態勢が依然として続き、異例ずくめの大災害に多くの住民が避難所生活を強いられています。亡くなられた方々、被災者の方々の苦しみに心が痛みます。
このような災害は、地震列島、火山列島日本に住んでいるかぎり、どの地域でも早晩起こることを覚悟しなければならず、明日は我が身と分かっていても、大自然の脅威を相手に、現実問題としてなすすべもないのです。神が未来に起こることを記された黙示録の預言は、人の罪のために、この世がついには滅ぼされることを明確にしています。神の御手による唯一の書『聖書』だけが、暗やみの中で暗中模索している私たちに、確かな方向づけと真の救いの手立てを与えています。

いろいろな要因によって引き起こされる罪がありますが、今月は国家としての罪について考察したいと思います。まず、今日英国が直面している重大課題「EU残存か離脱かに関する国民投票」、次に、日本が直面している重大課題「平和憲法九条維持か破棄(修正)かに関する国民投票の打診」について、国民が正しく返答するに必要な情報を聖書から探ることにしましょう。
英国も日本も、国民の間違った認識が国家の存続を危ぶむ事態に導きかねない選択に迫られている点で、非常に似通った状況に置かれています。神のご介入のタイミングを人の側から推し測ることはできないので、聖書の基準に従って道を選択すれば、国家に神の祝福と守りが完全、直ちに訪れるというような単純なことではありませんが、それ以上に今焦点が当てられるべきことは、もしこの世の基準に従ってもう一つの道を選択したなら、いかに恐ろしい災いが降りかかることになるかということでしょう。

預言的に神の御旨に目を留めている英国の霊的指導者たちは、6月23日に迫っている国民投票は、神離れの進んでいるヨーローッパから離脱する機会を、これまでEUとの統合は不可分の絆としか見てこなかった英国国民に、神が与えてくださったものと見ています。指導者の一人クリフォード・ヒルは、今日のキリスト者の状態を紀元前六世紀に捕囚先バビロンで生きたユダヤ人の残りの者になぞらえ、彼らが偶像崇拝、異端の文化の地でいかにヤーウエに忠実に生きたか、その生き方を聖書から学ぶべきであると、聖書を神の言葉と信じる全世界のキリスト者に訴えています。それほど私たちは今日、全世界的な背信の時代に生きているのです。
冒頭に引用した黙示録の二つの章に亘って語られているのは、この世の終わりに崩壊する世界的宗教組織、世界的経済機構の預言で、神の民を祖国から追い出し支配した古代バビロンの崩壊にたとえられています。背後で音頭をとっているのはサタンで、神の民は「この女から離れなさい」と、その邪悪な組織からの完全な離脱が命じられています。

英国では、ISISにより破壊され失われたシリアのパルミラ遺跡の中でかろうじて原形をとどめた門のアーチのレプリカが4月19日にトラファルガー広場に建てられ、テロリズムへの勝利のシンボルとして、米国にも建てられることになっているレプリカとともに、今年の世界遺産登録週間に祝賀式典が計画されています。しかし、背後には憂慮すべき要因があるのです。
このアーチは、西暦32年にメソポタミアのベル神の神殿の入口に建てられ、聖め、奉献されたもので、パルミラの宗教生活の中心を象徴したのでした。英国民の多くが、伝統的に培われてきたユダヤ教とキリスト信仰の価値観をすでに失い、霊的、道徳的に反聖書的思潮のEUからの離脱を進めている一方で、英国の中心的指導者たちの中に、神ヤーウェが「離れるように!」と警告しているまさにそのバビロンの神に門戸を開いている者たちがいるという皮肉です。
ロンドン市庁舎には、ロンドン市の守護神として異端の神々「ゴグ、マゴグ」の像が置かれていたのですが、ドイツ空軍の急襲で破壊されたといいます。しかし、英国がローマの占領下に置かれた時代以降、これらの像は伝統的に英国に関連づけられ、奇妙なことに今日も古代ロンドン市長就任式を再現した行列には、毎年これらの偶像が運び出されるのです。
英国中至る所に、古代ギリシャやローマの偶像、彫像が満ちており、英国は、神から離れたEUから離脱する以上に、内部の聖めという大問題を抱えているようです。問題の中には神の掟からほど遠い人間の掟に書き換えられた法律書が裁判の基準として用いられるようになっていることがあり、これは、聖書に手を置いて誓われた英国国王の戴冠式の誓いへの違反でもあり、国家としてのキリスト教国英国の神への反逆の罪は聖められなければならないのです。

しかし、4月21日に九十歳の誕生日を迎えられた真摯なキリスト者のエリザベス女王が健在なかぎり、英国民は、エレミヤ書18:7-8のメッセージ
わたしが、一つの国、一つの王国について、引き抜き、引き倒し、滅ぼすと語ったその時、もし、わたしがわざわいを予告したその民が、悔い改めるなら、わたしは、下そうと思っていた災いを思い直す
に希望をつないでいます。
クリフォードは、キリスト者に今迫られていることは、未来をこの世の同盟ではなく神に委ね、愛の神が、裁きのしるしとしての災いをまだ単発的に送り、本格的な裁きの連鎖を下される前、今のときに執り成しの祈りを深め、英国民を悔い改めへと導くことであると、警告しています。主は、ご自分から離れたこの世のすべての組織、機構を揺るがされるので、もし、何らかの揺るがしが民を襲えば、それは神が立ち返るようにと喚起しておられるしるしとして捉えなければならないとは、預言者クリフォードの警告です。イスラム圏からヨーロッパへの突然の難民流入もこの意味で捉えることができるようです。

英国が直面している課題を考察しましたが、聖書的な助言が、日本が直面している課題にもそのまま驚くべき一致で適用されることに気づかれた方は多いと思います。日本が早晩直面しなければならない問題は、安倍内閣が回りの国々に促されて、あるいは、威嚇されて、日本を軍事国家へと変えようとしていること、その第一歩として、戦争放棄を明言している平和憲法九条の解釈を変える試み、あるいは、条項そのものを取り除く試みに乗り出していることで、その結果陥ることになる恐ろしい災いを国民が正しく認識し、断固として反対を表明しなければならないということです。
無神論国日本には八百万の神々の偶像、彫像、宮、社が国中至るところにあり、日本国民は自分に益をもたらすご利益の神々は認めても、自らを被造物として畏れ崇めなければならない創造者なる真の神の存在は認めず、不信仰に不信仰を繰り返してきました。にもかかわらず、この国を神はありとあらゆる面で守り、大いなる恵みをもって祝福してくださり、世界最長の君主国として今日に至っているのです。

4月10、11日に広島で開かれたG7、主要七ヶ国の外相会合では、七ヶ国の外相が広島の平和公園を訪ね、原爆犠牲者を追悼後、原爆資料館視察、さらに、ケリー国務長官の希望で急きょ、原爆ドーム訪問という思わぬ発展があり、核軍縮、不拡散に重点を置いた成果文書「広島宣言」も発表され、主要国が一丸となって、核軍縮を越えた、核兵器のない世界に向けての新たな第一歩が踏み出されたのでした。
被爆地を訪問した最初の現職長官となったケリー国務長官は原爆資料館の芳名録に「世界中の人々がこの資料館を見て、その力を感じるべきだ。ありのままで、厳しく、そして人をひきつける展示は、私たちに、核兵器の脅威を終わらせる義務があるだけでなく、戦争そのものを避けるために全力をあげなければならないことを思い起こさせる」と記したとのことで、世界主要国の指導者たちの間に平和への機運が一層高まった大きな成果を挙げての閉幕となりました。
この成果は、5月26,27日に予定されている伊勢志摩サミットで引き続き世界平和の問題が話し合われるだけでなく、27日にオバマ大統領の広島訪問が決定したことにも表れています。大統領就任直後の2009年、チェコ共和国プラハで「核兵器のない世界」を提唱し、ノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領は、米国の現職大統領で初めて広島を訪問する大統領になるとのことで、これら一連の発展には、同盟や政略結婚などの人為的な平和ではなく、真の平和を愛する神の思惟が感じられます。

神は、核保有国と非核保有国の溝がますます深まっている今日、世界で唯一の被爆国として戦争放棄を表明している「平和憲法」を七十年余維持してきた日本に、核廃絶、戦争廃絶を世界に率先して訴えるよう願っておられるように思います。ウクライナ紛争を巡って米国との対立を深めたロシアは、いっそう核兵器依存の傾向を示し、核兵器開発を推し進めている中国、核実験強行を続ける北朝鮮の脅威と、世界が軍縮どころか、戦力増強に拍車をかけている今日、被爆国日本は世界平和を主張するに一番ふさわしい立場に置かれているのです。

聖書は、一国の指導者や王の、神の御旨を求める姿勢が国家の行く末に大きく影響することを教えていますが、神の原則は日本にも適用できます。神は、平和のために御身体をおして行動、祈っておられる今上陛下がご健在なかぎり、日本にもエレミヤ書18:7-8のメッセージで応えてくださるに違いないのです。平和の大切さの機運が世界的にも高まっている今、日本が平和憲法を維持し、軍事同盟を破棄し、世界平和のために執り成すとき、神ご自身が日本を自然災害、人的災害から守り導いてくださることでしょう。